株式会社Medii × アレクシオンファーマ合同会社
コラボ事例

i2.JPパートナーコラボ事例「進む、医師間のオンライン相談、健康・医療データの活用、気象データを活用したアプリ開発」

「i2.JP」2周年、広がり続けるネットワークの強みとは?

製薬会社アストラゼネカのヘルスケア・オープンイノベーションエコシステム「i2.JP(アイツー・ドット・ジェイピー)」の発足2周年記念イベントが、11月11日に東京都内で開かれた。同社執行役員でコマーシャルエクセレンス本部長のトーステン・カーニッシュ氏のあいさつに続き、「i2.JP」の設立に深く関わった慶應義塾大学の宮田裕章教授がビデオで登場。「日本のヘルスケア分野の課題解決にはデジタル化が急務だ」と指摘し、集合知のプラットフォームとして成長を続ける「i2.JP」へ期待を寄せた。

会場とオンラインで一堂に会した約350人の参加者は、発表された参画パートナーによるコラボレーションの成果にも強い関心を向けていた。

宮田 裕章(Miyata, Hiroaki)
宮田 裕章(Miyata, Hiroaki)
慶應義塾大学 医学部 医療政策・管理学教室 教授

日本のヘルスケア課題とi2.JPへの期待

―囲い込まないオープンさが魅力―

「i2.JP」は2年で素晴らしい発展を遂げ、数々の共創プロジェクトが生まれています。個人的にすごいと思うのは、スタートアップ(新興企業)だけでなく、メガファーマ(大規模製薬企業)も数多く参画していることです。ともすれば「囲い込み」になりがちなこうした活動が、自社や領域の利害を超えて未来を作っていくプロジェクトになっているのです。

外資系企業のアストラゼネカが、このプロジェクトを支援することの一つの特徴は、グローバルなネットワークを持つ企業ならではの「つなぎ」にあります。そこに参画したパートナーたちが、インバウンドを取りに行く、あるいはアウトバウンドに展開する。こういった支援をできるのが「i2.JP」の強みです。

―ヘルスケアの課題解決にデジタルは必須―

日本のヘルスケアの課題には、少子高齢化、人口減少などたくさんありますが、コロナ禍において、多くの人が認識したのは、ヘルスケアだけでなく全分野での「デジタル敗戦」でした。ヘルスケアの課題のひとつに都市と地域の医療格差があります。それをどう埋めていくのか、様々なプレーヤーが利害を超えてどう連携するのか。「デジタル」はその解決の糸口になります。

世界では、患者さんを中心とした医療が始まっています。PHR(パーソナルヘルスレコード:個人の健康・医療データ)やWeb3.0という形で、患者さんを軸にデータをつなぐプロジェクトが進展していますが、ここも、日本はなかなか進んでいません。

これから紹介される3つの事例は、こうした課題に対応するプロジェクトです。多彩なプレーヤーが集まることで、「i2.JP」の力がさらに高まってスケールアップすることを期待しています。私もより積極的に参加し、地域の未来、そして世界とつながる中で可能性を開いていくこのプラットフォームを一緒に作っていきたいと思います。

医師間のオンライン個別相談システムで
希少疾患分野の知見の最大化に挑む

―株式会社Medii×アレクシオンファーマ合同会社―

山田 裕揮(Hiroki Yamada)
山田 裕揮(Hiroki Yamada)
株式会社Medii 代表取締役医師
山田 泰輔(Taisuke Yamada)
山田 泰輔(Taisuke Yamada)
アレクシオンファーマ合同会社コマーシャルエクセレンス部
デジタルアナリティクス&ビジネスインテリジェンス ディレクター

希少疾患向け医薬品に特化した製薬企業「アレクシオンファーマ」と、専門医とその知見を得たい医師とをオンラインでつなぐサービスを展開する「Medii」(東京都)。両者が挑むのは、医療の地域間格差の是正だ。日本全国の主治医と専門医をつなぎ、希少疾患における知見の最大化を図る。

希少疾患は、1人の医師が出会う症例数も限られ、十分な診療経験を積むのが難しいのが課題だ。その結果、確定診断に時間がかかることも多い。アレクシオンファーマが治療薬を扱う希少疾患には、国内でこれまで数例しか確認されていないものもあるという。他の疾患でも数十~数百例が一般的だ。

アレクシオンファーマが行った医師への聴き取りでは、希少疾患に関しては検査解釈も含め、経験のある医師に相談したいというニーズが強いことが分かった。現役医師として希少疾患の診療にあたるMediiの山田裕揮氏も「経験のある先生に意見を聞くのは、これまで属人的だった」と振り返る。

「アイデアを具現化するための専門知識やノウハウが社内に必ずしもない」ことが課題と感じていた山田泰輔氏が注目したのが、DtoD(医師から医師へ)に絞ったオンライン相談サービスを手がけるMediiだった。同社の提供するサービスには、800人を超す様々な分野の専門医が協力。その時手の空いている全国の専門医のうち誰かが対応するためレスポンスが平均60分以内と早い点、クローズドチャット形式で回答の質が高くセキュリティー面でも安心して1対1のやりとりが行える点に強みを持つ。

両社が組むことで、特定の地域や医師に偏りがちな知識が広く共有されれば、疾患の早期確定診断にもつながる。患者の身体的・心理的負担を軽減し、治療体験やQOL(生活の質)向上に貢献していくことが期待される。

発表後の質疑応答で、大企業と連携する上での課題に「スピード感」を挙げた山田裕揮氏。これに対し、山田泰輔氏は、「スタートアップの皆さんの力、知恵、経験値を借り、ビジネスを作れれば」と話していた。

患者が安心できる健康・医療データ活用システムで
「デジタル医療社会」の実現を目指す

―埼玉医科大学×株式会社ラネックス―

泉田 欣彦(Yoshihiko Izumida)
泉田 欣彦(Yoshihiko Izumida)
埼玉医科大学 医学部 教授
一般社団法人ライフコースデザイン 代表理事
ソウ・ブバカール(Boubacar Sow)
ソウ・ブバカール(Boubacar Sow)
株式会社ラネックス システムエンジニア プロジェクトマネージャー

健康・医療情報をデジタルで患者と医療機関が共有することで、精密医療の実施、さらには、そのデータ解析によって新薬開発につなげる。埼玉医科大がシステム開発を手がける「ラネックス」(宮城県)と組んで目指すのは、必要とする全ての人に医療が届く「デジタル医療社会」の実現だ。

埼玉県は人口比当たりの医師数が少なく、例えば周産期医療などで、十分な診療を受けられない場合があるという課題があった。そこで埼玉医科大は、企業やスタートアップ、学術団体、医療機関などと共に「ライフコースデザインコンソーシアム」を2021年10月に設立。ICT(情報通信技術)やあらゆるものをインターネットでつなぐIoT技術を活用し、オンライン診療、遠隔医療を広域圏で行っている。

今回、ラネックスと組むことで、データの利活用に患者の意思を反映する仕組みを構築。「患者中心」を軸に据え、自分の健康データをどの医療機関に送るか、どの情報を提供するかなどを患者自身が決められるようにしたのが特筆すべき点だ。同時に、安全にデータの利活用ができるよう、国際基準に沿った標準化も行っている。デジタル化を進めることで、多忙な医師の「働き方改革」にも資することが期待され、全国のモデルとなることを目指している。

発表後の質疑応答で、このモデルを広めていく上での課題を聞かれた泉田氏は、「医療全体に波及する可能性が高いシステムであり、行政面でサポートがあればうれしい。ビジネス化だけでなく、データを医療側に提供する中で精密治療につなぐことが可能なので、その点での発展も重要だと考えている」と抱負を語った。ソウ氏は「私たちは患者さんが選択できるシステムを開発している。何のためのデータかがはっきりすれば、デジタルヘルスを適用するのも簡単だと思う」と日本の患者や医師がこのモデルを受け入れることへの期待を述べた。

気象情報を喘息症状の予知に活用
異色の連携で取り組む患者向けアプリ開発

―一般財団法人日本気象協会×株式会社インテグリティ・ヘルスケア×アストラゼネカ株式会社―

川瀬 善一郎(Zenichiro Kawase)
川瀬 善一郎(Zenichiro Kawase)
一般財団法人日本気象協会 主任技師
武藤 真祐(Shinsuke Muto)
武藤 真祐(Shinsuke Muto)
株式会社インテグリティ・ヘルスケア 代表取締役会長
大久保 悠理(Yuri Okubo)
大久保 悠理(Yuri Okubo)
アストラゼネカ株式会社 呼吸器・免疫事業本部
バイオロジクス ブランドマネジャー

喘息の発作には、ハウスダストや天候などの外的因子も関わっている場合があるとされる。アストラゼネカ、テクノロジーを活用した疾患管理システムを提供する「インテグリティ・ヘルスケア」(東京都)、日本気象協会という異色のコラボが取り組んでいるのは、「ぜん息チェッカー」という天気予報アプリだ。天候の影響を受けやすい人の場合、このアプリを使って日々の体調を記録することで、どんな気象条件で発作が出やすいのかを確かめることができる。避けることのできない外的因子を視覚化することで、予防策をとるなど患者自身の行動変容を促すことが狙いだ。

きっかけは、喘息の外的因子は診察室では特定できない悩みに対して、「患者自身が原因を考察し、主体的に医師に働きかける仕組みが作れないか」という大久保氏の思い。この思いに「『i2.JP』が手を差し伸べてくれた」のだという。

アプリという形で進めることにしたのは、世代を問わず使い慣れてきているため。性別、年齢を問わず関心が高い「天気予報」とひもづけることで、習慣化のハードルを下げることが狙いだ。患者の行動変容にとどまらず、病状記録から原因を考察し、治療について患者と医師が共に考えていけるようなツールを目指している。大久保氏は、「きちんと治療でコントロールされていれば、気象の変化で症状が悪化するようなことはないだろうが、治療継続のためにポジティブに活用してもらえるようにしたい」とアプリへの期待を話した。

発表後の質疑応答で、循環器の専門医でもある武藤氏は、患者がPHR(パーソナルヘルスレコード)を持ってきた時の医療者目線でのメリットと課題について、「多くの患者さんを診る医師にとって、一目で患者さんの状態が分かるというのは非常に重要です。一方で、自分のスマホを医師に見せることに抵抗感がある人も多いでしょう。PHRと電子カルテの連結など、日常の中でどれだけ患者さんの情報をシームレスに組み込めるかが課題です」と述べた。「ぜん息チェッカー」アプリは2023年初旬にリリースされる予定だ。

「この記事は、2022年12月に読売新聞オンラインに記事広告として掲載されたものです。」

i2.JPにはビジネスマッチングの機会はもちろん、ディスカッションの機会もある。「患者中心」の実現に向けて、ともに議論を行い、道筋を描きたいという強い志を持つ企業・団体は、お問い合わせください。

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