共創イノベーションは「話してみる」ことから!!予想外の話の転がりが新たなテーマや気づきを与えてくれる
i2.JPはヘルスケア分野に関心を持つさまざまなプレイヤーが集い、コラボレーションの力で課題解決を目指すオープンイノベーション・ネットワークです。
パートナー企業は、どのようにして共創相手と出会い、コラボレーションを実現しているのか?
i2.JPを通じて積極的にパートナー企業と面談している株式会社メディカル・プリンシプル社 事業開発ディビジョン シニア・ディレクター 金井真澄氏にお話をお聞きしました。
医師が感じる「あったらいいな」を
事業化が可能な臨床ニーズへと転換
企業の技術・戦略と繋ぐ
――まず自己紹介をお願いします。
メディカル・プリンシプル社は、クリーク・アンド・リバー(C&R)グループにおいてメディカル・ヘルスケア分野の事業を展開する企業で、医師向け転職支援サービス「民間医局」を主軸に、「医師の生涯価値向上」と「医療機関の価値創造への貢献」に取組んでいます。
私は2011年に参画し、2019年から新規事業開発に取り組んでいます。最初は医療と周辺分野の掛け合わせから始め、分野の枠を超えた自由な発想によって、明日の医療に貢献してゆきたいと考えてきました。C&Rグループには専門性の高い18分野のプロフェッショナル39万人超とのネットワークがあり、そのリソースを生かせることが当社の強みの一つです。
――これまでに手掛けてきたプロジェクトを教えてください。
「医療×VR」「医療×AI」「医療×ドローン」といったプロジェクトに、技術力を持つベンチャーや医師と共に取り組んできました。資金面ではクラウドファンディングを活用できる基盤を構築し、これにより医師の挑戦を強力に後押しすることができるようになりました。
これらのプロジェクトを進める中で、医師の間に「これからは医療以外の周辺分野にも視野を広げ、最先端のテクノロジーを積極的に取り入れなければ、医療は衰退してしまう!」といった危機感が広がっていることに気づきました。そして実際に、そうした危機感を以て自ら医療機器を構想していた医師を当社が支援したクラウドファンディングが大成功して、C&Rグループでの試作へと繋がる事例が出たことをきっかけに、新たに(SaMD含め)医療機器・ヘルスケアデバイスの開発プラットフォームとして「医療の“あったらいいな”デザイン工房 」を立ち上げました。
――医師の「あったらいいな」を実現する取り組みですか?
はい。民間医局の会員医師から「あったらいいな」を集め、私が医師とやり取りしてこれを「事業性ある臨床ニーズ」へと転換、それに合致する技術や戦略を持つ企業へと、協業を打診するプラットフォームとして始めました。医師の「あったらいいな」だけでは企業として「事業性」の判断が付かないので、工房がその「橋渡し」をするイメージです。
当社には「民間医局」で培った医師・医学生16万人超の会員ネットワークがありますが、そのうちほんの一部である約400人に呼びかけただけで、工房にはあっという間に150件を超える「あったらいいな」が集まりました。中には既にかなり具体化した構想を持つ医師がいる一方で、医師が企業の取組みを“知らないだけ”という状況も散見されたので、それを伝えるとさらなる臨床課題が浮き彫りになるといった形で、医師と私との間で壁打ちを繰り返しています。
他方で企業からすると、自社の戦略に沿う課題感を持つ医師を予め組織化しておけると利便性が高く、開発を進める上でもパートナーとなり、治験でも協力を仰げ、さらには上市後の広報・販路開拓も期待できるので、そうした「応援団となる医師パネル」の組成サービスが好評です。
オープンイノベーションを活用して
積極的に面談をオファー
相手の心を動かすのは「共創の仮説」
――i2.JPにはいつから参加されていますか?
加入したのは2021年ですが、積極的に活用し始めたのは2022年からですね。特に(SaMD含め)医療機器・ヘルスケアデバイスの開発に関係する専門性は多岐に亘り、自社で全てを手がけるのは到底現実的ではなく、スピード感も落ちるので、常にオープンイノベーションを心がけています。ちなみに他のプラットフォームも使っていますが、相手がどの程度ヘルスケアに関心があるかが分かりづらいです。その点i2.JPだと、参加企業は基本的にヘルスケアに意識が高いので、大いに助かっています。
――どのようにして情報を得ていますか?
毎月のメルマガで、新しく参画した企業の紹介欄を必ずチェックしています。私の頭に「デザイン工房」の事業モデルがあるので、その構想と照らし合わせながら、各社の事業内容や技術を注意深く丁寧に見ています。そして共創イメージが湧いたら、例えば「○○のアイデアを持つ医師がいて、御社の△△の技術が生かせるのではないかと思う」等と、具体的な理由を添えて、i2.JPのご担当者にお引合せを依頼しています。
例えば、
- 医師から寄せられた臨床課題→解決に繋がりそうな技術や素材をお持ちの企業
- 画期的な治療機器の資金調達→その領域を投資対象とする事業会社
――事業の構想とアイデアの種が頭にあるので、具体的な呼びかけができるわけですね。
そうですね。工房を立ち上げる前は、発想が湧くまま、色々な会社にお呼びかけしていた時期もありましたが、それでも共創の仮説を自分なりに立て、それを明確に伝えることは必要かもしれません。「興味があるから会いたい」だけでは、なかなか相手の心は動かないと思うので。ちなみに私の場合、面談の呼びかけに応じて貰える確率が高いそうで、これは、双方に利益ある共創仮説を立てることが出来ているからかと。その仮説構築力を磨くことが、事業開発に携わる者の矜持だと考えています。
互いを知り合うことは
未来に向けての“種まき”
時を経て共創の芽が出ることもある
――面談の際、心掛けていることは?
共創仮説を持って狙いを明確に話す一方で、“予想外に転がる”余地を残すことを心掛けています。想定外の反応に、新たなテーマや気づきが潜んでいるからです。狙いを定めながらも余白や遊びのある対話ができると、面白い面談になることが多いですね。
――i2.JPのパートナーと実現したコラボ事例はありますか?
先日、Medii社とコラボして、同社が行う「第3回Medii臨床グランプリ」の情報を当社メディアで広報しました。若手医師がチームを作り、各領域のエキスパートが出題する診断困難症例に挑戦する大会で、当社からも、日頃「民間医局コネクト」でパネリストになってくれている先生方のチームで参加しました。そこでの体験記や、大会結果を記事にしたのがこちらです※。
※民間医局コネクト記事:「第3回Medii臨床グランプリ」の優勝チームを発表!
ちなみにMedii社は、「誰も取り残さない医療を」を掲げて、専門医の知見を共有するサービス※を無料で展開しています。同社の専門医ネットワークと裾野が広い当社の医師ネットワークが繋がれたことを皮切りに、今後も共創を発展させてゆければと考えています。
――面談して、初めて分かることもありますか?
というより、話をしないと分からない事の方が多いのではないでしょうか。私の場合は専らオンラインですが、会社が公式HPには書いていないニュアンス、企画に込められた会社や担当者の熱量、戦略ごとの重点配分などを、さりげなく探る質問力や、相手の反応・間・言葉の選び方から多くを読み取る洞察力を磨いてきたつもりです。
それによって、今は正式に動いてなくても、例えば「私たちの○○技術の新たな用途を考えて」といった“宿題”を貰うケースがありました。共創のイメージ通りに即、動き出せれば理想的ですが、なかなかそうはいきません。最初に提案した企画が思うようにゆかなくても、代替案が上手く転がって成約した例もあります。
ビジネスを取り巻く環境は常に変化していますから、一度お話して、会社や人柄を知って貰うとそれが“種まき”となり、いつか芽吹き花開くかもしれない。だから面談では、自分を「面白いな」「使えそう」と印象付けられるかが勝負かと思っています。
――今後のi2.JPに期待することはありますか?
私は、オープンイノベーションとは規模を問わず“対等”であるべきだと考えていますので、様々なプレイヤーの間で「対等な関係を促進する」というi2.JPのスタイルに共感していて、これからも大切にして欲しいです。そして小さな会社は創造性とスピードを、大きな会社は情報とリソースを、それぞれ交換することで社会に価値を生み出してゆく…そんな交換が有機的に自然発生するエコシステムになっていって欲しいと、勝手ながら期待しています。
その過程では「分科会」のような仕組みがあっても良いかも知れないなと、今話しながら思いました。工房でも目下、例えば「SaMD」「PHR」「3Dプリンタ」等の分科会を作ろうかと考えている所なので。あるテーマに関連する人・興味のある人が集まって意見を交わす場があると、議論が深まり企画の解像度も上がると思うのです。もし実現したら分科会同士で、連携して何か企画してもいいですね。i2.JPと工房で、コラボの機会も創出しながら共に成長してゆきましょう。
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