キービジュアル
コラボ事例
松本ヘルス・ラボ×QUINTBRIDGE×i2.JP

「地方自治体/団体のオープンイノベーション活用を考える」座談会

共創の場を共に生み出すことも可能
既存の枠にとらわれないテーマ設定で
新たな機能、パートナーを見つけるチャンスに!

オープンイノベーションや企業との共創によって、地域課題を解決しようとする自治体/団体が増えています。i2.JPにおいても、多数の自治体/団体が新たなパートナーとの共創の種を見つけようとしています。

松本ヘルス・ラボは、市民の健康づくりとヘルスケア産業創出の両面を実現しようと長野県松本市が設立したリビング・ラボです。さまざまな形で企業とのコラボの可能性を探っており、QUINTBRIDGE×i2.JPのビジネスマッチングイベントにおいても2023年、2024年と2年連続でリバースピッチプレゼンターとして登壇しています。
QUINTBRIDGEはNTT西日本が運営するオープンイノベーション施設で、2025年1月現在、個人会員約2.4万人、法人会員約1,750組織、年間400回以上のプログラムを開催しています。

今回は松本ヘルス・ラボ、QUINTBRIDGE、i2.JP のメンバーが集い、マッチングイベント後のコラボ事例を振り返りながら、地方自治体/団体の企業とのコラボやオープンイノベーション活用について語り合いました。

松本ヘルス・ラボ(松本市 産業振興部 商工課 健康産業推進担当)
椙山 直樹 氏
千代田 莉奈 氏
QUINTBRIDGEコミュニケーター
下川 哲平 氏
赤坂 知世 氏
アストラゼネカ i2.JP ディレクター
劉 雷 氏

QUINTBRIDGE×i2.JPリバースピッチイベントの参加を振り返って

驚くほど多様な人との出会いがあった
企業とのコラボで市民に役立つ専門的な情報提供も実現

インタビュー写真_01

椙山:松本ヘルス・ラボは社会課題を解決しようとする企業と市民の皆さんを結び、市民の健康増進とヘルスケアの産業創出支援の相乗効果を創り出す拠点として、松本市が2015年に設立したリビング・ラボです。具体的な事業としてはテストフィールド、つまり企業から委託されて行うモニター調査・実証実験と、市民向けの健康イベント開催・情報発信の2つが軸になっています。
松本市を中心に現在、約7,000名の会員がおり、調査や実験には会員の皆さんにご参加いただいています。測定した結果は健康増進に役立つように、可能な範囲で参加者にフィードバックしています。

千代田:QUINTBRIDGE×i2.JPのリバースピッチイベントでは、2023年は松本ヘルス・ラボ公式LINEアカウントでの魅力的なコンテンツ配信、2024年はLINE会員増のアイデアを募集しました。いろいろな企業の方と接点を持ちたいと思って参加したのですが、想像以上に幅広い業種の方々に一度にお会いできてびっくりしました。特に2024年はキックボクシングジムの経営者、足育トレーナーなど普段は出会う機会のない方も多く、アイデアも刺激的で新鮮なものがたくさんありました。

赤坂:私がグループファシリテーターを務めていましたが、「松本ヘルス・ラボという名称を変えよう」など斬新なアイデアがいろいろ出ていましたよね。イベントをきっかけに、企業とのコラボが実現した事例はありますか?

千代田:2023年のイベント後には、我々のグループに参加してくださった製薬企業とその場で面談のお約束をして、すぐに動き始めました。アプリを通じた情報発信や健康セミナーの開催を継続的にサポートいただいています。
一番有難かったのは、セミナーを開催するエリアにおいて、専門家であるクリニックの先生方とのネットワークを同社が既にお持ちだったので、適切な専門家にご登壇いただけたことです。その地域に根差した専門家のお話は参加者の心に響いたと思いますし、悩みを持つ人が「受診しよう」と一歩踏み出すきっかけになったのではないでしょうか。
情報発信についても、特に皮膚のトラブルに関するコンテンツはアクセス数も伸びました。松本市は標高が高いため紫外線が強く、風もよく吹くため、乾燥肌の人が多いと言われています。我々は専門知識を持っておらず、ピンポイントに対象を絞った情報発信は課題の一つだったので、コラボのおかげで課題を一つクリアできたと思っています。

インタビュー写真_02

劉:コラボがスムーズに運んだポイントはありますか?

千代田:今回、連携させていただいた企業は自社のホームページで一般の方向けのさまざまな情報発信をしていて、連携方法を検討するうえで大変参考になりました。いろいろな企業からご提案がある中で、そうした企業独自の既存のコンテンツがあると、コラボのイメージがしやすくなります。イベントをきっかけに多くの企業の方と知り合えたので、今後は例えばLINEのキャンペーンなど、新しい共創の方法も模索していきたいです。

リビング・ラボの成長を考える

「市民の声から○○が生まれた」事例の発信を!
市民にとっても企業にとっても魅力的なラボになる

椙山:テストフィールドの実績としては、機能性食品、アプリの使用感などのモニター調査があります。立ち上げの頃は高齢の会員さんが多く、認知機能など高齢者向けの調査が多かったのですが、徐々に会員層が広がり、働く世代向けのモニター調査も増えています。規模は50人ぐらいから3000人規模までさまざまです。完遂率が非常に高いことは、テストフィールドとしての強みだと考えています。

劉:自治体が運営するリビング・ラボはほかにもありますか?

椙山:県単位で運営されているところが多く、一市町村がやっているところはほとんどないと思います。また、基本的に運営は委託されているなかで、市の職員が直接関与しているのは我々の特長です。

劉:ノウハウが蓄積されますし、市民からも企業からも信頼感が生まれますね。

千代田:モニター調査の完遂率が高い理由としては、とても真面目な県民性が大きいと思いますが、日誌の記入率が悪い人がいれば電話をかけるなど、きめ細かなフォローも行っています。健康セミナー等でモニター参加者と我々が直接お会いして、お話しすることもあります。

インタビュー写真_03

椙山:モニター調査は現在、県外の企業によるものが中心で、松本地域の企業をもっと支援したいと思っています。県外の企業と松本地域の企業をマッチングし、新たなヘルスケアビジネスを生み出す、そのハブになるような事例も増やしたい。我々の活動のPR不足は大きな課題で、松本地域内の企業にもまだ十分に周知できていません。

劉:会員数を増やすことも大切ですよね。多数の多様な会員がいて、企業がモニター調査を望んだとき、どんなターゲット層を求めても応えられるのが企業にとって一番魅力的なリビング・ラボかと思います。会員数が増えることでより多くの企業のニーズに応えられるようになり、プロジェクト数が増えて、それがまた会員増につながる――というような連鎖が生み出せると、ラボは大きく成長できます。

千代田:まさにその形を実現したくて、まずは会員数1万人を目指していますが……。

劉:すごく難しいですよね。一つのアイデアとして、会員側の「こんなことをやってほしい」という意見を聞いてみるのはどうでしょう。リビング・ラボの強みを発揮して、会員側のニーズと企業側のニーズをマッチさせる形でソリューションを生み出し、「会員さんのこんな声から○○が生まれました!」といった発信ができると、両方に対するアピールになります。自分の声が企業の開発に役立つとなると、参加者のモチベーションも上がりますよね。

下川:これまでに大きな成果が見られた事例はありますか?

千代田:一番大きな成功事例としては、モニター調査で金芽米が便通改善につながったという結果が出て、松本市内の小中学校の給食に金芽米が導入されたという事例があります。

きんめまい:特殊な技術で精米した米で栄養価が高い。

インタビュー写真_04

下川:金芽米が売れたらモニター参加者がお米を1袋もらえる、みたいな仕掛けがあると面白いですね。ヘルス・ラボのプロジェクトが成功すれば、市民の皆さんに何らかの形で還元されることにはなるのだろうと思いますが、もっと直接的なモニター参加のインセンティブがあるといい。ただ「調査に協力してください」よりも、「調査の結果、モノが売れたらあなたにもこんないいことがある!」のほうがゲーム性もあって、参加者が増えると思います。

劉:プロジェクトが成功したらリターンがある形ですね。一方でモニター参加者全員にポイント等を付与する方法もあります。どちらか選べるのも面白いですね。

オープンイノベーションを活用しよう!

「こんなことやりたい」を
QUINTBRIDGEやi2.JPと共に形に
皆にとってイノベーションの種になる

椙山:2024年のイベントでは、各地の自治体の方と交流できたのも有意義でした。特に沖縄県大阪事務所さんの事例は魅力的で、その後も交流を図っています。

赤坂:沖縄県大阪事務所さんは2023年のマッチングイベントに登壇、2024年の8月にi2.JP、QUINTBRIDGEと連携して、沖縄県版ワークショップ「沖縄固有のヘルスケア課題に挑戦」を開催し、5つの課題を3時間かけて深掘りしました。さらにその続編として、9月に沖縄現地でのワークショップも行いました。課題をよりリアルに知るために、保険者さま、健康経営を推進している地元企業、スケールしたスタートアップなどにも来てもらいました。QUINTBRIDGE会員は皆、関西から足を運んでいるので本当にやる気がある人ばかりで、なかにはワークショップ前日に沖縄入りして街頭インタビューをしたという人もいました。このように“シリーズ化”して深めていくのは、熱量の高いワークショップを実現する一つの方法だと思います。

インタビュー写真_05

下川:松本ヘルス・ラボさん発のイベントも、いろいろ考えられますよね。すでにある課題を深掘りするのもいいですが、既存の役割や課題感にこだわらず、テーマの抽象度を上げて、多彩なプレイヤーと課題の探索をしてみるのも面白いと思います。例えば近隣の自治体も招き、QUINTBRIDGEで「長野県におけるヘルスケアの課題」を考えるワークショップをやってみる。そして、新たな課題が見えてきたとき、それに対して松本ヘルス・ラボというリソースを使って何ができるか考えると、自分たちが今までできると思っていたこと以外の、拡張された新しい機能が見つかるのではないでしょうか。

赤坂:目の前の課題が他の人から見ると「課題はそこじゃなくて、こっちでは?」となることがありますよね。客観的な視点を取り込みながら俯瞰してみると、今まで考えたこともなかった課題が出てくるので、そのときに自分たちのリソースで何ができるか考えると、アイデアがふくらんで、新たな共創の種も見えてくると思います。

劉:QUINTBRIDGE×i2.JPでイベントを開催する理由も、まさにそれですね。幅広い会員がいるQUINTBRIDGEとヘルスケアに特化したi2.JPが交じり合うことで化学変化が起きて、想定外の課題やアイデアが生まれてくる。松本ヘルス・ラボ×QUINTBRIDGE×i2.JPでも、きっと何か面白いことができると思います。企業側にとっても、自分たちのリソースが地域課題の解決に役立つことに気づくチャンスになるはずです。

椙山:共創パートナーを見つけるには、より課題を明確にして提示する必要があると思っていましたが、今のお話をお聞きしていると、もっと視野を広げて考えてみてもいいのかなと……。

赤坂:まずは気軽に訪ねてきてください! 「こんなことで困っている」「こんなことしてみたい」でOKです。ご相談いただければ私たちは全力で考えますし、できることが必ずあるはずです。

劉:100%の準備をして臨むより、「やってみよう!」と皆でリスクをテイクして一歩踏み出し、軌道修正しながら進んでいくのがオープンイノベーションのアプローチであり、「こんなことやってみたい」は他のプレイヤー、私たち、皆にとってイノベーションの種になります。地域のニーズや課題を知りたいと考えているパートナー企業も多いと思うので、やってみたいことがあれば声をかけてください!

千代田:近隣の市を巻き込むようなイベントは自治体同士の連携のきっかけにもなるので、ぜひやってみたいですね。
今日のお話で、行政×オープンイノベーションの皆さんでいろいろなことができると知りました。これまではイベントに参加する側でしたが、今後は皆さんと一緒に共創の場を生み出すことにもぜひチャレンジしたいと思います。

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※掲載内容は2025年4月時点のものです。所属等、現在とは異なる場合がございますのであらかじめご了承ください。

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