コラボ事例
ケアプロ×AZ

卵巣がん疾患啓発プロジェクト(後編)
卵巣がんへの関心が低い層にもアプローチするため、インフルエンサーを活用したセミナーを実施

「トイレサイネージで配信し、リスクの高い層に向けた疾患啓発」卵巣がん疾患啓発プロジェクトの前編はこちらから!

日本において、卵巣がんは、乳がん、子宮体がんに次いで多い女性特有のがんです。近年、卵巣がんの罹患数は増えつつあり、子宮頸がんよりも多くなっていますが1、一般的にあまり知られておらず、自覚症状があっても受診されない場合もあるのが現状です。
そこで、アストラゼネカと、健康チェックイベントで豊富な実績を持つケアプロは共同で卵巣がん疾患啓発プロジェクトを実施しました。

両社の取り組みについて、ケアプロ株式会社の小林 尚祐氏、望月 里華氏とアストラゼネカの詫磨 正史氏にコラボの経緯やプロジェクトの特徴についてお話を伺いました。

プロジェクト事例

概要
  • インフルエンサーにご協力いただいた疾患啓発セミナーを実施(2023年9月8日19:30~20:30、オンライン配信)
  • セミナー後、視聴者に対してアンケート調査を実施
背景/課題
  • 卵巣がんの罹患数は増えているが1、国が推奨する検診がないこともあり、一般にあまりよく知られていない
  • 初期ではほとんど症状を自覚することはなく、症状が出てきても卵巣がんに特有なものではないため、気づかれない場合も多い
  • 患者さんを対象とした調査から、卵巣がんの基礎知識を持っていると「より早い受診につながる」「罹患した際の治療内容への理解度が高まる」と考えられる
検証結果
  • インフルエンサーに登壇してもらうことで、疾患への関心が低い層も含め、フォロワーからも関心を引き、集客への効果だけでなく、検診の重要性などをより強く訴えることができる

美容や更年期をテーマに活動する
インフルエンサーを登用し、フォロワーを集客

――今回のコラボレーションの経緯を教えてください。

詫磨:社内で行われた卵巣がんチームとi2.JP共催のワークショップで卵巣がん啓発活動についてディスカッションした際、「有名人やSNSから発信」というアイデアが出たのですが、そのアイデアを具体化するためにi2.JPを通じて小林さんに相談したのが始まりです。そのときはまだ「インフルエンサー」とまでは考えてなくて……。

小林:ケアプロは検査・健康チェックの啓発イベントを得意としているので、当初は参加者に腫瘍マーカーの検査を体験してもらい、あわせて医師の講演を聞いてもらう、というようなお話もしましたね。

詫磨:それもいいなと思いましたが、医療行為が発生するような活動は製薬会社のレギュレーション上、難しい。議論していく中で、「インフルエンサーを起用したイベント」というアイデアが生まれました。一般的な疾患啓発セミナーに参加する人は、健康意識やがんへの関心が高い。でも我々は、病気の予防などにあまり興味はないけれど、何となく健康に不安はあるような人たちの背中を押したいね、というような話から、インフルエンサーにたどり着きました。

小林:ネット上のインフルエンサーの多くはフォロワー層の属性が明確です。今回のように「卵巣がんのリスクが高い年代の女性にアプローチしたい」とターゲットがはっきりしている場合に、その力を発揮してもらいやすいだろうと考えて、インフルエンサーの活用というテーマが決まりました。

インタビュー写真

――プロジェクトの特徴を教えてください。

詫磨:一番のポイントは、インフルエンサーの人選です。まずケアプロさんに40~50歳代女性をフォロワーとして抱えるインフルエンサーのリストを作ってもらいました。

小林:私のアイデアとして、健康に無関心な層に届けたいのなら、卵巣がんと全く関係のないカテゴリーのインフルエンサー、例えば「オートバイ」「パチンコ」をキーワードにしてもいいのではないか、というお話もしましたね。

詫磨:アイデアとしてはすごく面白かったのですが、初めての取り組みでもあるし、やはり卵巣がんの啓発セミナーに登壇してもらう理由が明確な人がいいという結論になり、ヘルスケア関連の発信をしている人や過去に婦人科がんを経験されている人を選びました。
セミナーの内容については、オンラインでいつでも離席できるので、いかに飽きさせないかを考え、インフルエンサーでもあり、落語家でもある方に司会をお願いしました。さらに、第一部を婦人科医の講演、第二部をインフルエンサーのお二人を中心としたトークセッションとして、「婦人科受診について」や「かかりつけ婦人科の見つけ方」について語り合うという流れにしました。

望月:フリートークもあるため、事前の打ち合わせはかなり入念に行いました。企画の趣旨に賛同してくださった方を選びましたが、面談を重ねる中で、その方の思いが乗っかってきたというか……。やはり日頃から女性に向けて情報発信をされていて、多くの女性と接点がある方たちなので、ご自身が健康について女性に伝えたいメッセージを持っていらっしゃいましたし、こういう目線でお話しするといいといったアドバイスもいただけました。当日も婦人科健診の体験などをご自身の言葉で語ってくださったので、視聴者にリアルに伝わったのではないかと思います。

小林:事前に注意事項をかなり細かくお伝えしましたが、その中で皆さん、うまく話を広げてくださいました。ライブ感も出ていたと思います。

詫磨:ご登壇くださった先生もトークセッションに和気あいあいと参加してくださり、とてもよい雰囲気でした。見てくれた方からも「バラエティ番組のように楽しめた」という感想が聞かれましたね。

インタビュー写真

――告知や集客、参加者数などを教えてください。

望月:告知はアストラゼネカさんの社内ルールとインフルエンサーの活動方針をすり合わせ、合致したところをうまく活用しました。

詫磨:そうですね。まず、アストラゼネカのSNS(Facebook & Instagram)にて情報発信しました。そのことを登壇者全員に共有したところ、インフルエンサーのお二人がそれをシェアしてくださり、結果的に、多くの方に告知できたと思います。実際、卵巣がんに興味を持ってもらうことが一番の目的だったので、最初に設定した目標を大きく上回る結果が得られました。
当日も、過去に弊社で実施した患者さん向けセミナーの約1.5倍の方が参加してくださり、単純に比較はできませんが、多くの人に関心をもって見ていただけたと考えています。セミナー後のアンケートでも、「婦人科を受診したい」という回答が8割ぐらいでした。参加してくれた知人からも「婦人科検診で卵巣もみてもらって、異常がなくて安心した」という連絡があり、うれしかったですね。

望月:1回のセミナー参加で受診行動にすぐに結びつくわけではないかもしれませんが、「知っている」のと「知らない」のとでは違いがあるはずです。
登壇していただいたインフルエンサーのお二人とも健康意識が高く、婦人科検診の重要性もよく理解されていますが、フォロワーを含め今回参加した方々が、よく理解されているとは限りませんよね。そのため、経験談を基にした二人の言葉は説得力があるはずで、卵巣がんに興味がなかった層に対しても強く訴えかけることができた、ねらいだった“背中を押す”ことができたと思っています。「私も婦人科検診に行ってみよう!」と感じてもらえたのではないでしょうか。

「啓発セミナー=難しい」イメージを脱却し
わかりやすく親しみやすいイベントで届けるべき人に情報を届けたい

――プロジェクトの感想をお聞かせください。

望月:「わかりやすくてあっという間に終わった」という感想が印象的でした。一般的な疾患啓発セミナーは難しい・堅苦しいイメージですよね。情報を届けるべき人に届けられるように、敷居が低い・わかりやすい・親しみやすい健康イベントを私たちもずっと模索しているので、その一つのモデルができたのは大きいです。

詫磨:インフルエンサーが登壇する疾患啓発セミナーを私は見たことがなかったので、新しいことにチャレンジできた達成感もあります。枠組みとして他の疾患でも十分に使えますよね。

――今回の経験をベースに新たなプロジェクトは生まれそうですか?

小林:ケアプロは「生活動線での疾患啓発」に取り組んでおり、パチンコ屋や競艇場でも健康チェックイベントを行っています。その経験からすると、例えばCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の啓発は喫煙者がターゲットになるので、パチンコのプロでメディア発信をされている方に協力してもらうのも良いかもしれません。あくまでアイデアベースですが。

望月:運転の事故につながる緑内障の啓発を、運送業者さん向けに展開したりもしています。ケアプロとして今後注力したいのは認知症、脳卒中、心筋梗塞なので、この領域でもさらにアイデアを膨らませていきたいですね。

詫磨:認知症は最近、デジタルデバイスを開発するプレーヤーが増えてきたので、製薬会社や自治体と御社、デバイスを持つプレーヤーのコラボレーションも面白いかもしれませんね。

小林:でも、こうやってフラットに議論できるのがi2.JPの魅力ですよね。

詫磨:今回、やりたいことが固まっていない段階でご相談したので、困らせたのではないかと…。

小林:だからこそ新しいアイデアが生まれてくるのではないでしょうか。やりたいことが固まっていて、それに合わせて具体化するようなプロジェクトだと、新しいものはなかなか生まれてこないですよね。

望月:何かアイデアを出すと、詫磨さんが「面白いね」「これは難しいけど、別のやり方はないかな」とフィードバックを返してくれるので、それに対してまた「この方法はどうですか」とキャッチボールできる。関係性がフラットなので、アイデアを出しやすかったです。

詫磨:「それは無理!」と思うようなアイデアこそヒントになったりしますよね。最初から「実現できるかどうか」という枠の中で考えても面白くないし、斬新な発想は出てこないです。

小林:柔軟な発想で考えを大きく広げた上で、現実的に何をどこまで実現できるか落とし込んでいく。突飛なアイデアもどんどんぶつけ合ううちに、落としどころとして新たなアイデアが見えてくることもあります。
i2.JPは会員企業同士でフラットにディスカッションできるところが最大の魅力です。これからもどんどんコラボレーション事例が生まれてくることを期待していますし、ケアプロも積極的に関わっていきたいです。

私たちは最近、「健康増進の触媒となり、より健康に過ごせる未来つくる」というビジョンを掲げました。我々が持つ一般向けの啓発活動の知見を活かして、i2.JPのさまざまなプレーヤーをつなぐ触媒になり、化学変化を起こしていければと思っています。

※掲載内容は当時のものです。所属等、現在とは異なる場合がございますのであらかじめご了承ください。

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